話しの深さだけで親しさを測らない|聞き上手な人の処世術
本質
深い話をしたことと、深い関係になったことは同じではない。
原理と解説
夜遅くまで二人で話し、家族の悩みや過去の失敗まで打ち明けられると、翌日から急に「特別に親しい相手」だと感じてしまうことがある。けれど、深い自己開示はその場の安心感、勢い、疲れ、偶然の空気でも起こる。話題の深さは、その瞬間にどこまで心を開いたかを示しても、今後どれだけ関係を続けたいかまでは保証しない。そこで親しさまで先回りすると、相手との認識差が生まれやすい。 初めて二人で飲んだ同僚が、恋人との別れや将来への不安を詳しく話してくれたとする。翌日こちらが急に私生活へ踏み込んだり、頻繁に連絡したりすれば、相手は「昨日話したから、そこまで近い関係になったのか」と戸惑うことがある。反対に、翌日も普段どおり挨拶し、必要以上に触れず、その後も自然なやり取りを重ねれば、打ち明けたことを利用されない安心感が残る。深い話をした後の扱い方も、関係を形づくる一部になる。 親しさを判断するときは、「何を話してくれたか」だけでなく、「その後も互いに関わろうとしているか」を見るとよい。一度の自己開示を距離の証明にせず、会う、話す、連絡を返す、また頼るといった継続の積み重ねまで含めて考える。深い話が出た日は関係を一段進める合図ではなく、その場で預かったものとして扱う。親しさは会話の深度ではなく、時間をまたいで続く関わりの中で確かめていく方がずれにくい。