一つの話題を深く広げる|会話がうまい人の処世術
本質
話題の多さより、一つを掘る方がその人らしさが見えてくる。
原理と解説
旅行、仕事、趣味と話題を次々に替えているのに、会話のあとで相手についてほとんど何も覚えていないことがある。広く触れるだけでは、出てくるのはプロフィールに近い情報ばかりだからだ。一つの出来事について理由や感想まで辿ると、その人が何を面白がり、何を避け、どこに価値を置くのかが言葉の奥から見え始める。 相手が「最近、一人で京都に行った」と話した場面なら、「京都いいね」で次へ進まず、「なんで京都にしたの?」と一度だけ掘ってみる。寺が好きだからなのか、人混みを離れたかったのか、昔の思い出を辿りたかったのかで話はまったく変わる。さらに「行ってみてどうだった?」と感想を聞けば、旅の事実ではなく、その人自身の感じ方が会話の中心になる。 次の話題を探したくなったときほど、まだ一段だけ掘れる余地がないかを見るといい。質問を増やし続ける必要はなく、理由か感想を一つ拾うだけでも十分である。返事が短くなったり、考え込んだりしたらそこで止めれば重くならない。会話を豊かにする基準を「何個の話題を出せたか」から「一つの話題で相手の輪郭がどこまで見えたか」へ変える。